Tuesday, 22 August 2017

池上線の焼き鳥屋


先日、旧友のH君のお通夜に行った。H君とは卒業後してからご無沙汰していたが、数年前に一度東京駅の地下で飲んだことがあった。昔から九州男児特有の豪快さが売りの彼だったが、歳を取ってもその親分肌は変わらずであった。噂では落第して卒業が遅れたとか聞いていたが、その時貰った名刺を見ると大企業の専務取締役だったりして驚いた。

葬儀は五反田から走る池上線の沿線駅だった。本人の住まいの近くだと言うが、東京広しとは言え、殆ど行った事のない場所だった。初めて乗る池上線は都電を大きくしたような親近感があったし、何より狭い住宅街を走る風景が良かった。帰り道、亡くなったH君はこんな町に住んでいたのか!と故人の足跡と重ね合わせたりした。

後日、テレビのぶらり散歩ではないが、改めて池上線に乗ってみた。夕方になったので、適当に降りた駅の居酒屋で一杯飲んで帰ることにした。裏路地に入ると、白い提灯が遠くから呼んでいる店があった。それは焼き鳥屋で、入ると整然とした棚に小皿とコップが並び、カウンターの前では主人が丸裸の鳥を捌いていた。鳥は新鮮でニンニクの効いた大根おろしとのアクセントがとても良かった。久しぶりに下町の風情に浸ったのであったが、こんな事ならもう一度彼と飲めばよかった・・・。

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