Sunday, 13 August 2017

スパゲティボンゴレ

「バルカンに行ってきました」と云うと、必ず「美味しいものはありました?」と聞かれる。それを聞かれると困ってしまう。旅行ガイドブックでは、現地の食べ物が紹介されているから猶更である。ビールには凝るが、食べる物は所詮空腹が満たされればいい。

実は旅の食事の殆どはスパゲティである。それもスパゲティボンゴレである。ひき肉が入ったパスタでどこに行ってもあるし、お腹が空いている時に直ぐに出て来る。特に言葉が通じない国では猶更だ。食を追及すると、ガイドブックに頼る余りあれこれ言っている内に時間ばかりが経ってしまう。ウェイターには愛想を付かされ、最後は思ってもない皿が出て来るトラブルが待っている。

多い時には昼夜とボンゴレを頼む。「そんなに食べていて飽きないですか?」と言われるがそんな事はない。ボンゴレは万国共通で、レストランや国によって微妙に味が違う。バルカンの特徴は量が多く、たっぷり入ったオリーブ油はラーメンのようである。今まで一番美味しかったスパゲティボンゴレはどこか?、それは昨年行ったマケドニアの首都スコピエである。マケドニアといえば旧ユーゴの中でも最も遅れた国で、街に立ち並ぶ旧ロシア時代の巨大な銅像は、ペンキで放置された異常な都市である。ところが、集英社新書の「終わらぬ民族浄化、セルビア・モンテネグロ」を読んでいたら、著者の木村さんも「スコピエで食べた中華は最高だった!」と書いてあった。たまたまかも知れないが、最果ての国と思われる場所で、期しくも同じ思いをしたかと共感を持った。そのレストランの名前は忘れたが、マザーテレサの生家の前にあった。

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