Tuesday, 1 August 2017

コトルの城壁

コトル(Kotor)はベネチア共和国時代に栄えた港町である。昔読んだ塩野七生さんの「海の都の物語」に出て来た気がする。深く入り込んだ湾の奥が町で、その背後には切り立った岩山が聳えている。初めて日本人の観光客に出会った。これなら背後から攻められることはないだろうと思うが、岩肌には周囲4.5Kmの城壁と海面1500mに聳えた完璧な要塞であった。折角のなのでゆっくり2泊することにし、旧市街近くに宿を取った。


翌日はそのアドリア海で泳いだ。バカンス客は海と住居の間の狭い道に車を止め、僅かばかりの岸辺に陣取って一日を過ごしている。フランスのコート・ダジュールやベアリッツと違い華やかさは全くない。そこは旧社会主義のお国柄だろうか、勿論トップレスなどは皆無である。気が付くとあまり海に入っている人は居ない。恐る恐る入ってみると、2~3m進むと背が立たなくなってしまう深さだった。水はとても冷たく、10分も浸かっていると体の芯が凍ってしまう。ただ外に出るとこれまた強い日差しで暑く、その格差がアドリア海と思った。2回ほど入るとさっぱりしたので、今度は城壁登りにチャレンジしてみた。

城壁のパンフレットには、安全ルート、危険が増す区域、ハイリスク区域の3つが色分けされており、海からほぼ垂直に連なる山道は険しかった。登ること約1時間、着いた先の教会廃墟には水を売るおじさんと犬が寝ていた。富士山ではないが、一緒に登頂した登山者とハグで分かち合い記念撮影した。聞くとトルコ、ドイツ、台湾から来た人だという。トルコと言えばその昔はここもオスマン帝国の一部だったから、里帰りの気分なのだろうか。その日はモンテネグロワインと地ビール、ベーコンを詰めた地ダコ(あまり美味くなかった)で夕食を取った。既に1000Km程を走ったので疲れた。

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