人の違いも少しずつ区別出来るようになってきた。ボツニア人は、男だと丸刈りで体格も良く丸っこい体型だ。それに比べ、モンテネグロの人は顔が異常に小さく、体がやけに大きく見える。どこかで見たと思ったが、映画「アバタ―」の動物人間に似ていた。昔スコットランドを旅していた時、とあるお城で女性2人組がいた。その後ろ姿は今まで見た事もない9~10等身で人間離れしていた。思わず「どちらの方ですか?」と聞きたくなったが、今回モンテネグロに来てその謎が解けた。顔は、男であれば俳優のジャン・レノに似ている。髭を蓄え、大きな目に瞼が半分程掛かっているので眠たく見える。
途中、国立公園になっている渓谷を抜けたが、高低差100m以上はあっただろうか、岩山と眼下に流れるタラ川のエメラルド色とのコントラストが見事だった。細い山道は対面通行で、一歩間違えば奈落の底である。そんな中、大きなトラックが後ろから追い越しを掛けヒアッとするシーンが何度かあり怖かった。夕方4時頃だったかやっとコトルに着いた。山越えの登りが終わり、峠を越えると湾が見えてきた。正にそれは、アラビアのロレンスが長い砂漠を抜けてアカバに出たシーンと重なった。