子供の頃、「何が食べたいか」と聞かれれば、ビフテキと応える人が多かった。ビフテキはビーフ・ステーキの略語で、まだ貧しかった日本人の胃袋を満たす象徴だった気がする。
そのビフテキだが、実はフランス語としても使うようだ。Biftecksと書くが、実は久々に読んだル・ポアイン誌の「今日は何の日」に出て来た。それは何とあの佐川事件であった。このコラムに殆ど日本人は登場しない。あったのは、ルバング島の小野田少尉やイ号潜水艦など戦時中のものだった。それが、パリで起きた事件だったからなのだろうか、人肉を食べた佐川一政を取り上げていた。記事には、「カンニバル佐川が、美しいルネを切り刻んだビフテキを貪り食った」との見出しで紹介していた。
事件は1981年6月、留学生の佐川がオランダ人女性を殺害、その生肉と食べたと言う。それまで人の肉を食べるカンニバルは、アフリカやアジアの奥地の未開拓人種と思っていた。佐川が登場してから、日本もやはり野蛮人かと思われたのは辛辣だ。ただ映画「羊たちの沈黙」など、どこの世界にもカンニバルはいるのかも知れない。そんな忘れていた事件だった。
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