マクロン候補の話は、ある意味でフランス社会の男女関係の一端の気がする。現職のオランド大統領も、結婚してない女性とエリゼ宮に住み、別の愛人宅にスクーターで通うという、信じられない事件があった。ミッテラン氏には晩年隠し子が発覚したが、公の場に同席させていたし、前職のサルコジ氏は3度の結婚、相撲好きだったシラク氏は良く来日したが、実は日本に愛人がいたという噂もあった。それらを受け入れるフランスって、正に自由と博愛を地で行っているようだ。
確かにフランス人と会っていると、人と人の距離がとても近いと感じる。世界一と称されるのは挨拶である。半分は儀礼だが、”ボンジュール!”を聞くと不思議と朝が晴れるような快さがある。目と目を見つめて話すアイコンタクトもそうだ。挨拶代わりに頬に3回キスをする習慣は中々真似できないが、(犬ではないが)しっかりと相手を認識しているようだ。
そんなフランス人の生活を垣間見れるのが、ステファン・クラーク(Stephen Clarke)著「糞!(原題:Merde)」である。英国人がパリで暮す姿をユーモラスに綴っていて面白い。最近また取り出して読んでいると、フランス女性が自由闊達に生きる狭間で、彼が振り回される姿が何とも滑稽である。フランス人は良く失敗した時に「メルド!(糞)」と叫ぶが、その響きは本当に犬の糞を踏んだ時のような同情を誘う。文章のタッチは「プロヴァンスの12か月」に似て、素朴で観察のセンスに富んでいる。
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