Wednesday, 24 May 2017

シシリー島のジュリアーノ

そのシシリー島だが、訪れた2011年は選挙の年だった。財政難に加え、永年のスキャンダルが山積し、特に少女との買春疑惑のベルルスコーニ首相はピンチだった。ベルルスコーニさんは歯に衣を着せない発言で、彼方此方で暴言を繰り返してきた人だった。結局選挙には負けたが、島での評判は大変なものだった。

彼はマフィアとの関係も取り沙汰されていたように、とても古い体質の人だ。それがイタリア、取り分け田舎のシシリー島みたいな場所では人気を博した。その訳の一つが脱税だ。イタリアの脱税率はロシア、ブラジル、ギリシャに次いで多いと言われている。島を旅するとクレジットカードはまず使えないで、ホテルでも殆どキャッシュであった。その足跡が残らない商売は、彼のような人々のイメージとダブってくる。

旅から帰って、藤原房俊著「シチリア・マフィアの世界」を読むと、サルヴァトーレ・ジュリアーノという盗賊もいたことが分かった。彼はイタリアの銭形平次とロビンフッド版で、戦後に弱きを助ける地元の雄だった。最後は警察に捕まってしまうが、その彼が逃げ込んだのは首都のパレルモ近くの山だったという。実はその山をバックにした海岸線は、島一番の絶景ルートだった。暫く行くと、山頂の古代都市エリチェ(Erice)に着く。あの映画「ゴッド・ファーザー」でマイケルが求婚に訪れるキャフェみたいな処が沢山残っていて、不便な高台に、未だに人々が生活しているから驚きだった。島にはこうした歴史が沢山詰まっている。

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