Thursday, 23 March 2017

ロックフェラー自伝

トランプ政権の政策の一つが保護主義と言われ、今週の財務相会議(G20)では反保護主義の文言が削除されたので株価は大きく下がった。その保護主義に対立するのはグローバリズムである。グローバリズムは多国籍企業に代表される企業活動も沙流事ながら、女性の人権や同性愛の容認など社会文化にも深く浸透している。こんな事を考えると、ISOの品質基準や、オリンピックのルール、人の移動からTPPまで何でも関係してきそうだ。

そんな矢先、そのグローバリズムの元祖と言われるロックフェラーの自伝「ロックフェラー回顧録(原題:David Rockefelllar Memoris)」を読んでみた。ユダヤ資本をバックに世界を暗躍する影の支配者、そんなイメージとは裏腹に、時代の寵児で世界を股に掛けて動いた姿が伝わってくる一冊だった。御多分に漏れず、彼の半生を費やしたチェース銀行では、ライバルだったジョージ・チャンピオンとの熾烈な戦いが開陳されていたが、正にそれは国内ファーストか国際化路線の対立であった。チャンピオンが今のトランプ、ロックフェラーが今のクリントンと置き換えると、凄く分かる気がした。

結果はロックフェラーが生き延びるが、シティーバンクが更に国際化では先を行っていたから、歴史の評価は左程出はなかったようだ。それにしても云わば影武者として会った人は多かった。ソ連のフルシチョフ、中国の周恩来、エジプトのサダドやキューバのカストロなど、当時の世界リーダーが勢揃いする。それを支えたのは、キッシンジャーであった。表向きはチェース銀行のためとは言っても、そのフットワークが歴史を変えたことも確かだ。何が本当で何がそうでないのか、益々分からなくなってきた。

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