Sunday, 26 February 2017

30年前のマレーシア

金正男の暗殺事件で、連日クアラルンプール(KL)からの報道が続いている。事件のあった空港は随分前に出来たが、成田とは比較できない程モダンである。中東から4時間程で来れる地の利もあり、黒いベールに身を身を包んだ人も多い。市内の巨大なショッピングセンターで買い物して帰って行く。

ただマレーシアはイスラム国だから、日本人にとっては刺激がない分、物足り無さが付き纏う。歓楽街も少なくTVも面白くない。定年後に日本から移住する夫婦が多いのは、「夫が現地で変な気にならないので、奥さんが安心して過ごせる」というのが理由らしい。街並みも人臭さがなく、暫く前に出来た新都市のペトラジャヤ(Petrajaya)はその典型だ。KL郊外に霞が関をそのまま移転した官庁都市であるが、無味乾燥とした雰囲気はあまり気持ちいいものではない。昨年訪れたルーマニアの首都ブカレストの街並みが、何故かそれに似ていた。

そんなKLだが、今から30年程前はモノレールもペトロナスタワーもなく、英国統治の面影が多く残っていて良かった。当時の最高級ホテルだったシャングリアの前に、ちょうどマクドナルド1号店が開店した頃だった。良く整理された道路と街路樹が調和し、暑さを凌いで寺院に入ると、石の床から伝わってくる冷気が快かった。お気に入りは市内の中心にあるセランゴールクラブである。ウィンブルドンのような生芝のテニスコートでプレーでき、それは優雅な社交場だった。あの頃が懐かしい。

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