そうは言っても経済を握るのはやはり中華系である。マレーシアばかりでなく、アジアの華僑ネットワークは大きい。だからこそ、逆のハンディを負って生きているのも事実で、気使いも人並みではない。友人のTさんもその一人だ。Tさんは勿論英語が達者で、豊富な話題でいつでも人を笑わせる才能がある。例えば、ある金持ちの武勇伝の話をした後に、「でも私にはお金がないけど・・」という落ちが必ず付く。その間合いが何とも親近感を疎そうのである。
その西洋ナイズされたTさんが、ある時ドリアンの美味い処があるというので連れて行ってくれた事がある。ドリアンは高価で美味だが、物凄い匂いのする果物である。チーズのようにお腹の中で発酵するから、絶対にビールと混ぜてはいけないと言われている。そんなドリアンばかりの屋台が並ぶ市内の一角で、採りたてをご馳走してくれた。その地元に溶け込んでいる姿を見て、変に安心した記憶がある。