その「Killing The Rising Sun」の著者は、後書きの中で彼の父親に触れていた。彼の父はアイルランド出身の家系に生まれた水兵だった。太平洋戦争で生き残り、終戦後にNYで結婚し今の著者が生まれた。著者は、「もしもあの時原爆を使わずに本土決戦になっていたら、父を含む多くの米兵が命を落とし、そして今の自分もなかっただろう・・・」と回顧している。
後書きには、元大統領のカーター氏やブッシュ親子の寄せ書きも載っている。内容はいずれも、原爆投下が終戦を早めたという賛美だった。あまりこの議論を深めることはタブーであるが、広島と長崎がなかったらどうなっていたのだろう?そう思うと怖くなるし、同時にやり切れない気持ちにもなる。
日本でも父の戦争体験を綴った本は多く、最近では岩波新書の「生きて帰ってきた男」は切なかった。著者は慶応大の小熊英二教授である。立派な息子だからこそ、戦争に蹂躙された惨めな父を蘇らせられたのかも知れない。そうかと思うと反対の事もある。今週号の週刊新潮では、硫黄島の栗林中将のお孫さんのゴシップが出ていた。戦争は終われど、まだまだ戦いは続いている・・・そんな感じがするのである。
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