Friday, 5 August 2016

バルカン半島の人と自然

改めてバルカン半島の旅を振り返ると、血なま臭い場所ばかり廻った気がする。しかし決してそんな物騒な処ばかりではなかった。人々は至って素朴で親切だった。多くの人々に道を教えてもらい助けて貰った。ベオグラードの街で二コラ・テスラ博物館の場所が中々分からないで困っていると、一緒に車に同乗して届けてくれた学生や、ソフィアの軍事博物館へもある人が車で引率してくれた。中には駐車代まで払ってくれた人もいた。「GPSはないの?」と聞かれると、「僕のGPSはこれ!」と言ってガソリンスタンドで買ったバルカンマップを出して、一様に驚かれた。


そして豊かな自然、取り分けこの季節はヒマワリ畑が綺麗だった。そんな景色を楽しみながら、行く先々でご当地ビールとワインで乾き切った喉を潤した。小さな国がひしめき合っている、それでいて文化が異なるこの地域ならではのバリエーションは楽しかった。特に西側にはない素朴さが良かった。

田舎では馬車が日常の交通手段として生きているし、また野犬も多かった。野犬はヒトのいる処にゴロゴロ、寝そべって誰かが恵んでくれるのを待っている。きっと古代からそのスタイルは変わらないのだろう、もはや風景の一部になっていた。犬と一緒にしては失礼かも知れないが、大国の間に生き続けたバルカンの人々にも、それに近い強かさを感じた。ともあれ、人の心、豊かな自然、そして手付かずの中世に触れた旅になった。

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