Friday, 29 July 2016

ニシュのドクロ塔

マケドニアからセルビアに入り、ニシュ(Nis)という古い町に泊まった。ニシュからローマ皇帝を3人も輩出していると聞き、改めてローマはこんな処まで拡がっていたんだな!と実感した。ここで凄かったのはドクロ塔であった。1809年というから比較的最近だが、オスマン帝国が攻め込んだ際に、セルビアの兵士を斬首し、約1000人の首をセメントで埋め込んだ。その塔の一部が今でも教会の中に保存されていた。以前シチリア島の田舎で、村で亡くなった人の骸骨に衣服を着せ、一室に陳列する風習も度肝を抜かれたが、こちらはバーバリズムそのものだった。

それからナチスの収容所が残っていたので訪れた。大きな建物にユダヤ人、ロマなど男女が階毎に収容されたという。ベットはなく床に藁を挽いた寒々しさがあり、部屋から亡霊の声が聞こえそうで怖かった。35千人の囚人の内、10千人が森で処刑されたと、案内のおばさんが話していた。

ニシュから北に240Km、首都のベオグラードに入った。まず軍事博物館や拷問博物館を見て廻った。流石旧ユーゴスラビアの首都だったこともあり、見るのも疲れる量だった。そして現地の人が勧められたのがニコラ・テスラ博物館である。ニコラ・テスラ(Nicola Tesla)は、先日の日経新聞にも特集されていたが、エジソンとの直流・交流論議で有名な科学者である。私は良く知らなかったが、謎めいた大変な人らしい。博物館では実際に雷のような電流を流し、子供たちが手に持った蛍光灯が明るくなる実験を行っていた。クロアチアで生まれストラスブルグやパリ、NYに居たにも拘わらず、何故か国籍はセルビアになっている。

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