泊まった民宿はの近くに、フネドアラ城(Hunedoara Castle)という立派な城があるというので行ってみた。15世紀にしては良く修復され、周りの掘りは今でも川が流れているので、当時を彷彿とする雰囲気があった。この城は串刺しのドラキュラ王が、若い頃幽閉された事で有名だ。当時の主は十字軍(ハンガリー)で、その後オスマンによって解放されたので、ドラキュラ王はイスラム教育を受ける。しかし心変わりをする・・・という伏線の城である。
ここで、とある囚人の言葉に心を打たれた。それは井戸の横に書かれていた説明文だった。「この井戸はオスマンの囚人3人が掘った。囚人達は主から井戸を掘れば自由の身にしてやると言われ、15年かけて28mを掘った。ところが主人は亡くなり遺言を継いだ奥さんがそれを反古にして処刑することにした。囚人は最後の願いで、石に”貴方は水を得たかも知れないが、心はない”と彫った」・・・と。
実際にその石が井戸の上に嵌め込まれていた。城の入り口には、囚人の人形が不気味に照らし出されている。生身の人の心に触れると、歳月がリアルに蘇る。