Friday, 3 June 2016

パリ娼婦館の女将

フランス語の翻訳家と云えば、伊藤緋紗子さんだ。BCBGは有名だが、そんな彼女が訳した高級コールガールクラブを経営した女主人の本があった。原題は「マダム」、クロード・グルデ(Claude Grudet)という女将の回顧物である。

何のことはないストーリーだが、顧客にはケネディー大統領まで登場する。パリのこの世界は、ピガールから始まりヴァンドーム広場で車待ちするサクセスストーリーがあるやに聞いている。ただこの本に出てくるの部類は、更にその上を行っている。出てくるホテルもアテネやリッツなど超一流である。

読んでいて、アラブの王様がコートダジュールで過ごす夏休みを思い出した。お付きも含めた大人数のため、ホテルを丸ごと借り切る。勿論家族も一緒だが、中には娼婦もいて奥さんの目を盗んではお忍びで部屋を往復する。ひょっとしてこのクラブから派遣されたのかも知れない。著者の女将は最後に捕まり投獄されるが、出所してこの本を書く。その強かさはフランスらしかった。

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