A.マクリーンの「北海の墓場( 原題:Bear Island)」を読みだすと、アバディーン(Aberdeen)の港が出てきた。懐かしのアバディーンは、長崎のグラバー邸の主、トーマス・グラバーの育った街である。
トーマス・グラバーは漁業しかないこの街を捨て、香港から日本にやってきた。岩崎弥太郎や伊藤博文など多くの若者を留学させ、明治維新を陰で支えた外国人だった。ただ彼の息子はハーフだったが故に、スパイの嫌疑を掛けられ、終戦直前に自害した。グラバー邸の立つ丘が、戦艦武蔵を建造する三菱重工を見下ろせる場所だったからだ。
3年前にそのアバディーンにあるグラバー邸跡を訪れた。勿論今では新しい家に代わっていたが、通りは彼の名前を冠して残していた。何気なく小説を読んでいて、そんな旅を思い出した。
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