30年程前になるか、スイスのグリンデルワルドでスキーをしていた時だった。陽も暮れかかったので下山すると、林の中にスキーヤーが倒れていたのに気が付いた。滑走路からはみ出し、立ち上がれないでいた。「大丈夫ですか?」と聞くと、相手は「ハイ・・・」と応えるが一人では身動き出来ない。仕方がないので、助け起こし滑り出そうとすると、そのスキーヤーはろくにスキーが出来ない初心者だった。それも氷点下になろうとしているのに、何とジーンズ姿であった。心配になって麓の村まで搬送して送り届けた。
それはNYに住むアメリカ人の女子学生だった。その縁で、その後NYに行った際に一週間ほどお世話になった。彼女はロングアイランドの豪邸に、両親と4姉妹と住んでいた。庭に大きなプールがあり、お父さんが娘達の為に目隠しの塀を作ったと自慢していた。お蔭でセント・モーゼスの海や地元の草野球など、ロングアイランドの自然文化を味わう事が出来た。
ただ一つ気がかりな事があった。実は彼女の家には犬がいた。その犬の名前が私の名前に似ていた。最初は発音の違いかと思ったが、確かにそうだった。犬と一緒に呼ばれる内に、何か複雑な気持ちになった記憶がある。
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