映画「エベレスト~神々の山嶺」を見ていて、ある登山家を思い出した。それは山田昇さんである。山田さんはエベレストに3度も登頂、8000m峰を9座登頂するなど、日本のトップクライマーだった。
お会いしたのは、今から30年程前になるか、西武グループが主催した冬山教室だった。北アルプスでピッケルを使った滑落停止などを教える合宿だった。夜になると山小屋で語り合うのだが、そこに来ていたのが山田さんだった。小柄で雪焼けした普通の人だったが、人を魅了する何かを持っていた。そんな彼に、誰かが「山で大変だった経験は何ですか?」と聞いた。すると「ウンコが出たくても出なかったことだ!」と言って笑わせた。どういう状況か知らないが、貴重な話を聞けた気分になった。
山田さんはそれから暫くして、アラスカのマッキンレーで命を絶った。享年39歳だった。大人っぽく見えたが、思えば当時は30代半ばの若さだった。
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