Saturday, 24 October 2015

Sさんの言葉

若い頃、就活をやっていた時があった。その時、誰かの紹介で知り会ったSさんが居た。同じような境遇のSさんは、仕事がない時は只管走っていると云う。聞いてみると、42Kmのマラソンは勿論、60歳近いのに24時間レースに出ているというから驚いた。仕事が出来ない悶々としたマグマを、マラソンで爆発させていた。
 
そのSさんだが、ある時ぽろっと零した言葉があった。それは、「ヒトは幸福には鈍感だが不幸には敏感だ!」だった。何気ない一言に、苦労した彼ならではが伝わって来た。地獄を知るSさんだからこそ、見えた世界かも知れない。その後Sさんとは会っていないが、時々使わせて貰っている。
 
足元を見れば途轍もない幸せがあるのに、ヒトは中々それに気が付かない。その反面、誰も気にしないのに今の境遇を大きく嘆いてしまう。昔、田村正和の古畑任三郎シリーズだったか、ある男が「自分は駄目なんです・・・」と嘆く。すると古畑が「誰が駄目だと決めたんですか?」と迫る。中々名文句だと思って、これも取り込んでいる。

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