信州の山を走っていたら、道に大きな栗が落ちていた。強風と晴天が幸いし、食べ頃の実が一挙に落ちたようだ。暫し足を止め拾い始めると、どこからともなく人が現れた。「取ってもいいですか?」と聞くので、「勿論、どうぞどうぞ」と2人で又拾い出した。
今年は栗とマツタケが豊作の年だという。秋刀魚が中国船に密漁され、秋の旬に事欠いているだけに朗報であった。取った栗は早速茹でて食べた。
ところで、冬のパリの風物詩と言えば、牡蛎と焼き栗である。特に焼き栗は黒いアフリカ人が、鉄板に上で焼きながら、「マロンショ!(熱い栗:Marron Chauds)」と大きな声で呼び込んでいる。だから誰もがマロンはフランス語の栗だと思ってしまう。ところが栗のフランス語はChâtaigne(シャティニュ)で、マロンはマロニエの木の実である。そんな私も栗と思って拾い集めていたら、「ノンノン!」とフランス人がやって来て、「それは食べられないよ!」と注意された。それにしても、どうしてマロンが栗になったのか、未だに分からない。
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