秋になっていた。まだ暑さは残るが朝晩の冷え込みが違う。そろそろ冬支度をと、薪割りに励む。何年か前に切り落とした大木、チェーンソーで輪切りにしたやつだ。人気のない山で、ややもすれば押しつぶされそうになった記憶が蘇る。
あれから数年、水気が抜けてやっと斧が入るようになった。斧は振り上げて落とすだけでいい。決して力は要らない、ゴルフのアイアンのコツと同じだ。切り株の性格も様々だ。真っ直ぐ育った樹木は3-4回歯を落とせばスパッと割れる。ただ曲がっていたり、途中から枝が出ているものは厄介だ。それでも最後は必ず割れるが、木もヒトの性格に似ている。
切った薪を暖炉に組めると、パチパチと空気の弾ける音が聞こえる。静かな夜、オレンジ色の炎だけが生き生きしている。それを眺めながらスコッチを舐める。秋の夜長である。
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