今週のル・ポアン誌に、寒い国は暑い国に比べて20倍も死者が出るという記事があった。ただそんなことは今更調べなくても分かることだ。誰でも寒いより暖かい処がいいに決まっている。
いい例がロシアだ。クリミアに固執したのは黒海に面した温暖な地だったからだ。共産党幹部の別荘地が多いと聞くが、一年中雪に閉ざされた国土にあってせめて一か月だけ太陽に当りたい、それを満たす希少地なのだろう。バルト諸国もそうだった。セント・ぺテルスブルグに近い国境の街ナルバには、どこまでも続く砂浜と森、今では家主の居ない別荘が残されていた。
私はかねがね、ロシアの(西欧に対する)被害者意識はその寒さから来ると思っている。国土こそ広いが、良く見ればまるで地球の僻地で生きているようなものだ。日本や英国が島国で海に囲まれていること、スウェーデンやスイスが大戦中に中立国だったこと等、多くが地形的な要因で助けられたが、その真逆の現象だ。等価交換ではないが西側が温暖地を提供し、その何倍もの寒冷地をロシアが差し出せば、意外と世界は丸くなる気がする。
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