自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務・・・その外務省を舞台にした佐藤優の本は面白い。極めつけは官能小説と自身が称する「ハレンチ外務省」である。少々モラルに欠けるという批判はあるが、実話を基にしているだけあってリアルだ。練れた文章も冴えている。
著者の代表作は「国家の罠」である。その後の厚生省事件の展開にも大きく影響を与えた。ただ個人的には「自壊する帝国」や「外務省に告ぐ」が好きだ。海外話が多く、毎日のニュースを解くヒントがあるからだ。例えば先日日本が潜水艦技術をオーストラリアに供与する話があったが、本の中でオーストラリアは英国連邦のインテリジェンスを担当しているので北朝鮮の情報を持っているという件があった。またイスラム国勢力にチェチェン人が台頭している記事があったが、チェチェン人は男系七代続く血の報復の掟があって、トルコに亡命した一派が場所を変えて報復しているとか、流石元外務省の情報官でないと分からない世界だ。
氏の本は殆ど人物が実名で登場する。こんな事をしていると周りの人は引いて情報を提供しなくなってしまうのでは・・・そんな肝っ玉の小さい者の心配を他所に、エネルギッシュな創作活動続けている。
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