Sunday, 4 January 2015

心の旅路(Random Harvest)

年の瀬、TVで記憶を無くした男の話を放送していた。50代の彼は自分が誰だか分からない。でも子供時代の記憶は鮮明だ。通った小学校や住んでいた街に行くと、はっきり覚えている。

人と話していると、「あれあれ・・・」が多くなった。会った人の名前、行った場所の固有名詞が出てこないからだ。誰しも若い頃の記憶は残っているが、昨日のことは直ぐに忘れてしまう。それが老いというものだ。それが酷くなると、痴呆やアルツハイマーの病気になる。10年程前に「明日の記憶」という映画があった。渡辺謙と樋口可南子が夫妻を演じ、50歳を過ぎたサラリーマンの記憶が薄れるストーリーだった。食堂で戻るはずの自分の席を、取引先に行ったつもりが、ふとどこに向かっているのか忘れてしまう。何気ない日常に、とても他人事とは思えない迫力があった。

一方、記憶を取り戻す映画もある。好きなのは、何といっても「心の旅路(原題:Random Harvest)」である。記憶を無くした士官を助けた踊り子が男を支える。彼が記憶を取り戻し大会社の社長になると、秘書になって献身的に記憶が回復するのを待ち続ける。最後はひょんなことから記憶が蘇り、妻である彼女を思い出してハッピーエンドを迎える。記憶を無くすのは家族にとって辛いだけに、蘇る感動も大きくて、何度見ても涙してしまう。

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