Tuesday, 13 January 2015

ビゴーの風刺画

旅の途中で読んだ清水勲著「ビゴーが見た明治ニッポン」は面白かった。ビゴー(Georges Ferdinand Bigot)は明治初頭に日本に来たジャーナリストだった。17年に渡り、漫画で当時の日本をフランスに伝えた。カメラが普及していなかった時代、その目線描写は今見ても面白いものがある。

例えば靴である。一気に文明開化した日本人は挙って丁髷を切り、和服から洋風に衣替えした。一見西洋化したように見えたが、一番苦痛だったのは靴だった。今でもレストランやオフィスでこっそり靴を脱ぎリラックスしている人は多いが、当時はもっといた。それを見付けたのはビゴーだった。また混浴や女性が胸を出すのが恥ずかしいと思わなかった文化もあった。家で威張る男が公娼女とは微妙な関係になる。中々外からでないと気が付かない日本を残していた。

先週はパリで風刺画の新聞社が襲撃された。驚いたのは早速大統領や各国の首脳始め300万人を超える人がデモを行ったことだ。宗教、フランスの自由も沙流ことながら、フランスの風刺画に秘める人々の思いは想像以上のものがあった。当時もビゴーは皮肉って面白可笑しく日本人を描いていた。ただその滑稽さこそがフランス人のような気もした。今回の事件の本質もそういう観点から暫し考えてみたい。

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