今日はクリスマス・イブだ。若い人は誰とどこで過ごすか、一年の一番大事な日かも知れない。ふと何年か前にヨーロッパで過ごした一人クリスマスを思い出した。
外はとても静かで人気が無かった。それは当たり前かも知れないが、表は寒いので人々は家の中で過ごすからだ。何気ない窓明かりが、いつの間にか幸せ家族を想像してしまう。独り身の孤独感が身に浸みる。そもそも絵で描いたようなロマンティックなカップルは殆どいないのに・・・そうは分かっていても、中々割り切れない。それはサンタクロースに似ている。来ないと分かっているのに、心のどこかで待っているからだ。
先日、落合恵子のラジオトークで、オー・ヘンリー(O.Henry)の「賢者の贈り物(原題:The Gift of the Gagi)」の朗読を聞いた。昔々英国に若いが貧乏な夫婦がいて、クリスマスのプレゼントに何を贈ろうかと考えた。夫は美しい髪を持つ奥さんに自分の大事な懐中時計を売って櫛を買った。一方奥さんも亭主に何を贈ろうかと考え、自身の大事な髪を切り売ったお金で時計の鎖を買った。蓋を開けてみれば、それを飾る処もなく気持ちだけが残ったという話である。結果は空振りだったが、二人の気持ちに人々は打たれる。クリスマスは何かを掻き立てる不思議な日だ。
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