先週、NYで映画「カサブランカ」で使われたグッズのオークションがあった。そこで例のピアノが$3.4百万(約4億円)で落札された。ピアノはハンフリー・ボガート演じるリックとイングリッド・バークマンのエルザが、サムこと黒人ピアニストが奏でた「As Time Goes By」の曲で交錯する、大事な役割を持っている。張り詰めた時代と、戻れない過去を何とも言えない哀愁を持って奏でている。
カサブランカは何度見ても飽きない不思議な魅力がある。アメリカ映画協会によるランクでも、市民ケーンに次ぐ名作だから世界のファンが多いのだろう。同時に落札された椅子は$5千(約60万円)、盗まれたパスポートは$118千(約14百万円)、リックバーのドアは$115千(13百万円)と、何れも大変なプレミアムが付いたというから驚きだ。
カサブランカが奥深いのは、あの時代を全部詰め込んでいるからだろう。ビッシーのペタンと水、マルセエーズに涙する女、ドイツ人銀行家やロシア人のバーテンダー、フランス警察とイタリア警察、キャプテン・シュトラッサー・・・等々。ただこの映画に憧れるのは殆ど男性のようだ。女性は左程評価していない。リックはさり気なくエルザを包み込むが、それをロマンと思っているのは男性だけらしい。
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