Tuesday, 30 December 2014

ベルツ博士の足跡

ある方に「ベルツ博士と日本の医学」と称する講演録を頂いた。ベルツ博士と云えば草津温泉の発見者ぐらいの知識しかなかったが、読んでみると中々の人だったことが分かる。

例えば日本の菜食文化、最近でこそヤクルトの広岡監督が実践したので有名になったが、ベルツ博士はわざわざ当時の車夫に肉を食べさせ、野菜しか食べなかった車夫と比べたそうだ。また二重人格や感情麻痺の現象についても調べたという。面白かったのは、明治の日本人が近代化を急ぐあまり、日本の生活様式をどんどん捨てようとしていた事に対し、警鐘を鳴らしていたことだ。西洋が500年間かけてゆっくり熟成した文化を、明治の日本人は一挙に受け入れようとした。それが「西洋の学問は機械で日本は精神で」の勘違いの始まりという。

今の日本もモノで満たされながら、どこかで深みが無く社会も希薄なのはそのせいなのだろうか?ベルツ博士は東大に26年も在籍し、日本医学に大きく貢献した。今の日本も当時とそんなに変わっていない気がして、師の足跡に興味を持った。

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