Thursday, 25 December 2014

クリスマス・キャロルのScrooge

クリスマスは何か忘れていたものを掻き立てる。その代表作がディケンズの「クリスマス・キャロル(A Christmas Carol)」だろう。老獪で守銭奴な主人公スクルージ(Ebenezer Scrooge)老人が亡霊と会い、過去・現在・未来の自身を見るうちに改心するストーリーだ。今でも彼の名前は、英語でケチで自分勝手な人の代名詞になっている。

面白いのは元フィアンセだった女性が、彼を捨てた後に幸せに暮らしていたことだ。また彼が死ぬと人々は衣服から金目の物をはぎ取り、お金に換えては過去の負債を少しでも穴埋めしようとした。どちらも現代に通じるショッキングな出来事だ。それが分かっていれば誰も今が怖くなるというものだ。

スクルージは改心した後に優しい老人になるが、その二面性は(Wikipediaの解説によると)父の影響という。ディケンズの父は投獄されていたので、彼は12歳の時に工場で働かざるを得なかった。その辛い体験が、後に父を慕いつつも恨む両方の素地を作ったという。時は1843年、日本ではペリーが来航する10年前だ。そんな昔にかくも慈悲深い、そして人々に希望を与える小説を書いていた。それだけで感心してしまう。

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