スコットランドが独立を掛けた投票で盛り上がっている。日本人にとっては所詮九州が独立するような感覚だ。痛くも痒くもないが、中公新書の「シングルモルトを愉しむ」を読んでいると、また新たな感慨に浸って来る。
スコットランドと言えば、何といってもスコッチウィスキーのメッカだ。そのウィスキーは、イングランド軍から追われて山に逃げたスコットランド人が密造したことに始まる。ハイランド(高地)やアイラ島、オークニー島の数々のウィスキーは、皮肉にもその迫害が生んだ産物だ。現地に行くと、今でも「ジャコバン派」、「カローデン(Culloden)の戦い1746年」などの本が店頭に出ている。フォート・ウイリアムズ近郊の、グレンコー(Glencoe)で起きた虐殺の物語は、美しい谷と共に昨日の事のように訪れる人の心を打つ。
そして何よりその悲劇を曲にしたスコットランド民謡がいい。戦後間もなく日本の小学校に導入されたのはスコットランドのフォークダンス音楽だった。そのせいか、甘く切ない、それでいて陽気なメロディーは日本人にとって馴染みが深いこともある。独立の是非については門外漢だが、そうした歴史の悲劇、歴史に倒れた人々を思うと、願いを叶えて上げたい気になるのだ。
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