W杯で思い出深いのは1994年のアメリカ大会だ。決勝はブラジルとイタリアだった。たまたま休暇でイタリアはソレントに滞在、この試合をTV観戦した。夕方の8時頃から始まるというのに、レストランは早々閉まってしまい、町中いや国中が観戦モードに入っているのが分かった。
して試合が始まり、決着の付かないまま0‐0でPKに入った。W杯史上初のPK合戦だ。お互い1人目が外し、2-3人目は成功、4人目でイタリアが失敗した。後のないイタリアの5人目はエースのロべルト・バッチオ(Roberto Baggio)に全てを託した。世界の目が注がれる中、バッチオの蹴ったボールは大きく宙に舞い万事休すとなった。
翌日は市内のシャッターが閉まったままで人通りも疎ら、ホテルの従業員はまるでお通夜のようだった。「陽気なイタリア人もやはり人並みに落ち込むんだ?」と、変に感心したものだった。ともあれW杯は一瞬のボールの転がりが選手、延いては国民の人生を大きく変える。
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