Wednesday, 7 May 2014

拙速を持って尊ぶ

4月は新入社員の季節、そろそろ一か月が過ぎる頃だ。学校を出て社会に入り毎日が新鮮な日々である。本人も沙流ことながら、それを見つめる周囲も、過ぎし日の自分と重ね合わせている。要領のいい奴悪い奴、在りし日の風景はとても懐かしい。

かく言う私も新調した背広に身を包んで出陣した。何処からか貰ったネクタイにComtesseのイニシャルがあった。その意味を知る由もなかったが、マンツーマンのIさんからすかさず「伯爵夫人ですね」と言われた。Iさんはフランス帰りのスマートな人、仕草に全くそつが無かった。そして出来ようが出来まいが、何事も直ぐに手を付けるということが大切と教えてくれた。二言目には「拙速を持って尊ぶとする」がモットーの人だった。

見ていると腕まくりし、難解な文章をいとも簡単に仕上げてしまう。真似しようと思っても、自分にはそうはいかない、そのギャップに唖然としてものだった。それを思い出すと、今の新人の方がよっぽどしっかりしている気がする。

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