1970年台だったか、アメリカをヒッチハイクで一周した。旅の後半にラスベガスに立ち寄った。グレーハウンドバスの車内では、当時流行っていたマリワナを回し飲みしていた時代だった。
ラスベガスは砂漠に作られたカジノとエンターテイメントの町である。歩くとシーザースパレスでプレスリーのショーをやっていた。お金もないしどうしようかと迷っていると、アメリカ人が親切に案内してくれた。言われるままに切符を買って入ってみたものの、周囲はタキシードにドレス姿の社交場である。ジーンズと汗臭いポロシャツ姿は場違いであった。心細く一人佇んでいると、又別のタキシードの一行がこっちに来いと言う。同じテーブルに座らせてもらい、一緒にショーを楽しむ事が出来た。
噂には聞いていたがプレスリーは流石迫力があった。白いドレスに赤いマフラー、シュトラウスの「ツラトストラはかく語りき」のテーマソングで登場し、若い女性がキャーキャー叫んでいた。それに向かって赤いマフラーを投げ込む姿は格好良かった。ステージ下には、サントリーの宣伝TVにも出たサミー・デービス・ジュニア(Sammy Davis Jr.)も来ていた。以来アメリガ人の鷹揚さに包み込まれ、アメリカが好きになったのである。
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