Saturday, 10 May 2014

ベトナム沖の中国船事件

山崎豊子著の「大地の子」という大作があった。置き去りにされた日本人の子を、中国の人が育ててくれた残留孤児の物語だ。中国は大陸からの邦人引揚者の逃避を黙認し、その上残して行った子供まで育ててくれた。又その後の日中協定では賠償責任を不問にしてくれた。だから日本人は「それらの御恩を決して忘れないで生きて行かなくてはいけない」、長年そう思って来た。

昨今の尖閣諸島問題、領有権を巡る議論でも、過去の歴史認識が何たるや、本質はそんなに複雑ではないと思っていた。中国人の感情を逆なでする出発点が中曽根発言なら、A級戦犯の合祀を取り下げは賛成だ。だから元東条首相の遺族のみが合祀取り下げに反対した時は、戦時中のことと重なって怒りを覚えた。

今週はベトナム沖合でベトナム船が中国船から被害を受けた。尖閣諸島での領海侵犯、先週は商船三井の船舶が戦前からの賠償金として40億円を請求されたり、何か中国が大きく舵を切ってきたように感じる。御恩の気持ちが不思議と変っていくのが怖い。

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