「この桜、伊藤長官の植えた桜でしょうか?」、庭を掃除していると塀越しに声が掛かった。一瞬何の事だか分からなかった。「え!」と尋ねると、「ああ、大和の艦長だった伊藤長官が植えた2本の桜を探しているのです」、という。
話を聞くうちに段々様子が分かってきた。それは昭和20年4月、沖縄特攻に出た戦艦大和の長官だった伊藤整一氏が植えた桜が今でも残っているらしい。本も出ているというので、早速取り寄せてみた。中田整一著「四月七日の桜」である。中々当時にしては家族思いの強い人だったようだ。2本の意味は、1本がやはり沖縄特攻で散った飛行士のご子息という。
そう、今日4月7日は大和が鹿児島沖で撃沈された日である。「散る桜、残る桜も散る桜」、誰もが刹那的に生きていた時代、それを象徴するのが大和だった。しかしまさか桜の満開の日に沈んだとは、何かの因縁を感じたのだ。
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