1980年代中頃だったか、「凛子はどうなったの?」とベルギー駐在のS君から毎朝国際電話が掛かったきた。凛子は日経小説「失楽園」の主人公、当時の駐在員の楽しみはこの連載小説だった。個人的にあまり男女のドロドロは苦手だが、兎に角当時は流行った。
1990年代に入り、今度は宮本輝の「朝の歓び」が連載された。イタリアのアマルフィー海岸を舞台に、中年の日本人男と、若いこれも日本人女性が出会う小説だ。随分前に読んだので粗筋は忘れたが、美しい南イタリアをバックに、まるでキャサリーン・ヘップバーンの映画「旅情(Summertime)」を思わせるようなロマンに酔った人は多かった。
そのアマルフィー海岸だが、TVのイタリア紀行で久々に見た。近くにはフィレンツェ、ナポリとカプリという景勝地がある。ベスビオスの山に登り、紀元前に灰に埋もれたポンペイの遺跡を見て、山腹のレストランでこれぞナポリタンのスパゲティーを注文する。ナポリは泥棒が多いので危ないが、カプリ島に渡ればゴージャスなブティックが並んでいる。トム・クルーズ始め、多くの金持ちの別荘が立ち並び、小舟で渡る青の洞窟も近い。その色たるやゴッホもビックリの青だ。フィレンツェに泊まり、明るく居るだけでウキウキするローマの歴史とイタリア料理に浸れる。イタリアでも一番のスポットだ。
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