京都を訪れた際に銀閣寺に寄ってみた。冬にしては暖かな日で、大文字焼きを目指して歩くと汗が出てきた。春節の時期なのか、心持ち中国語が良く聞こえてくる。
境内に入り庭園を周回し、高台に登ってみた。一息付き見下ろすと、京都の町と良くマッチしてとても美しかった。山に囲まれた街並みは、静かで昔の面影を残している。
随分前になるが、やはり冬の京都を訪れたことがあった。宿を銀閣寺の近くにとり、近くの酒屋に入った。客は男が一人で飲んでいた。その時だった。静寂を破るかのように、ドアがガラッと開いて若者が入ってきた。するとその若者は、「あ!先生」と言って男の隣に座った。その男も、「おまえ、故郷に帰らなかったのか?」と聞いて二人は話し始めた。どうやら京大の先生と学生だったようだが、雪の降りしきる寒い一夜、その光景はまるで川端康成の小説のひとコマのようだった。
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