楽天オープンの初戦で錦織選手が逆転勝ちした。相手はオーストリアのメルツァー、ファーストセットを落とし、セカンドセットも5-2とリードされながら逆転した。本人も終わってからあれは負けるかと思った試合だった。転機になったのは一本のリターンショットだった。深い角度で入ってきたサーブを振り抜き、見事ノータッチのエースが決まった。この一打を境に力みが取れたという。
見ていて思い出したのは2011年の全米オープン準決勝だった。前年に続き、フェデラーとジョコビッチの一戦だった。セットカウント2-2で迎えたファイナルセット、5-3で王手を掛けたのはフェデラーだった。スコアは40-15、フェデラーがマッチポイントを握り、しかも彼のサービスだ。誰もがフェデラーの勝利を確信した、その時だった。ジョコビッチの一か八かのリターンが決まり40-30,それに動揺したフェデラーが何とダブルフォルトしてジュースになり、最後はこのゲームを落としてしまった。これで流れが変わり、ジョコビッチが7-5で逆転した。
テニスの試合には流れがある。精神的にどちらが優位に立つか、それで勝敗の70%が決まる。ただずっと維持するのは難しいので、アリの一穴ではないが、少ないチャンスを物にすれば流れが変わることがある。今回の一打はそれを見た気がした。
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