Wednesday, 2 October 2013

「風立ちぬ」を観て

宮崎駿監督のアニメ映画「風立ちぬ」を観た。「風立ちぬ」は堀辰雄の小説から、少女の名前も続編「菜穂子」から引用している。結核の療養を舞台にした物語だが、原作はトーマス・マンの「魔の山」、タイトルはフランスのポール・ヴァレリーの詩の一節である。だから映画はコピーのコピー、と云っては失礼だが事実だ。

映画は堀越二郎の半生を描いていた。昭和初期の日本の風景、人々が描かれていて興味深かった。ドイツのユンカース社に見学に行ったシーンも面白かった。ただ美しい画像と美しいストーリーは、ややもすると本筋から外れてしまった感があった。

ゼロ戦については、先日柳田邦男著「零戦燃ゆ」を読んだばかりだ。連日のように10機、20機と失っていく様は、今更だが身に詰まされた。それでも月間200機は作っていたというのも驚いた。正に日本全土が消耗戦の時代だった。通俗的でもいいから、零戦をテーマにするなら、その生々しさを描いて欲しかった。

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