作家の山崎豊子さんが亡くなった。山崎さんといえば、「沈まぬ太陽」や「白い巨塔」など多くの小説を書いた。不条理の社会にあって懸命に生きる姿は、読者に大きな力を与えてくれた。昨今のナイロビの乱射事件で真っ先に思う浮かんだのは、沈まぬ太陽の主人公だ。また病院で巡回する白衣の先生を見ると、つい財前教授を思い浮かべてしまうのは、私だけではなかったはずだ。
中でも印象深いのは、「大地の子」だった。原作をTV化したものも取り分け良かった。印象深かったのは、主人公が左遷され、中国奥地の発電所に飛ばされた時だった。そこで働いている人の多くは左遷、島流しに遭った人達だ。皆無口で、それを称して「化石のような人」と言っていた。中々いい表現だと感心した。
化石の人は、刹那的で何事にも無関心だ。例えば「美味しい物を食べに行こう」と言っても、「どうせ最後は出てしまうので、何を食べても同じだよ」と言う。「体のために運動したら」と奨めても、「どうせ疲れるだけだよ」と返ってくるし、「寒くなければいい」とオシャレする訳ではない。一体何を考えているの分からない・・・長年そう思っていた。ところが最近は歳のせいか、そうなったのもまた原因があるのでは、と考えるようになった。執筆途中の作品があると聞いて、とても残念だ。
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