週末、神田の「まつや」に行った。まだ陽が高いのに店内は一杯、遠くから蕎麦を楽しみに来ている人で賑わっている。
神田の蕎麦と云えば、一頃は「藪そば」だった。まだ土曜日が半ドンだった頃、仕事が終わると良く仲間と行ったものだった。昼から飲む日本酒は人目を憚るようでスリルがあった。そして「おそーばー・・・」と歌舞伎風のイントネーションは、そばの長さを引き出すようで情緒があった。ただ残念なことに暫く前に火災に会い、目下閉店中という。界隈には蕎麦屋の他に、揚げまんとあんみつの「竹むら」や、料亭紛いの「いせ源」がある。「いせ源」は下駄番がいて客の下足を預る。ある時、客の靴が出て来なかったことがあって大騒ぎになったが、下駄番は絶対譲らなかった。それだけ職に命を懸けていたのだろう・・・そんなことを思い出した。
「まつや」は蕎麦は元より、何といって客層がいい。多くは中年だが、週末というのにネクタイを締め着飾ってくる嘗てのジェントルマンが多い。勿論同伴するのは品のいい奥様、正に絵になっている。外人のジャーナリスト紛いの人もいたり、国際的でもある。食は文化なり!江戸の原点がここにある。
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