タイのODA(政府開発援助)をしていた頃、タイ側の窓口だったのがPさんというお嬢さんだった。お医者さんの娘さんで英語はうまく、役人にしては垢抜けたセンスの人だった。聞くと以前外資系の銀行に勤めていたという。社長の日本人がとても尊敬された人だったが、帰国してしまいそれを契機に会社を代わった。そんな立派な日本人がいたのかと誇らしかった。
この美談から暫くし、偶然その日本人社長にお目に掛かった。確かに話に聞いていた通り人望の厚い人だった。80年代は日系企業がどっと押し寄せた頃だった。慣れない異国の地で、中には大声で現地の人を怒鳴りつける日本人もいた。そんな時だっただけに、この話はとても嬉しかった思い出がある。
久々にタイに行ったついでに、中公新書の「物語 タイの歴史」を読み返していたら、タイで一番有名な日本人は「小堀」だという。映画(クー・カム:運命の相手)の主人公の名前で、太平洋戦争を舞台にし、現地の女性と恋に落ちた日本兵だそうだ。山田長政やチェンマイの玉本さんかと思っていたら意外だった。タイと日本は相思相愛の国民性だ。きっと第2の小堀さんが沢山いるのだろう。
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