ところが暫くすると、一緒に来ていた奥さんが「やはり私、東京の方が友達も居て・・・」とあまり来なくなり、1人暮らしが始まった。それでも初めてのDIYは楽しく、ペンキ塗りや大工に精を出した。しかし流石、1人で食べる食事が毎日続くと寂しいものがあった。そこでAさんは夕方、車で山を下り、麓の居酒屋に飲みに行くようになった。大した飲み屋ではなかったが、地元のおばさんの手料理、会話は快かった。飲めば勿論運転出来ない。そこで、その晩は駅前の旅館に泊まり、翌朝また山の別荘に帰る、そんな日が続いた。
別荘とは聞こえがいいが、一体何のために買ったのだろう?Aさんは、神田、新橋を懐かしく思うのであった。サラリーマンは長年四畳半の世界に生きてきた。他人は煩わしいが、無ければ寂しい性がある。特に飲み屋は欠かせない。理想と現実、最後の居場所を探すのは中々難しい。
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