Monday, 25 February 2013

力を借りる「脱出記」

私は足が丈夫である。決して速い訳でもなければ、足腰が強い訳でもない。ただ歩くことに賭けては、疲れ知らずのところがある。若い時は、身体は疲れても足だけが別物のように進んで行った。このため、昔から山は得意だった。

そんなこともあって、いつぞや読んだS.ラヴィッツ著「脱出記(The Long Walk)」はとても身近に感じられ、勇気が出る本だった。著者はポーランド人で、第2次大戦の時に捕虜としてシベリアのキャンプに送られた。厳冬の地であったが、そこから仲間と脱出、何とゴビ砂漠、ヒマラヤを超えてインドまで6.500Kmを歩き、遂に自由になったという実話である。東京から大阪位までなら何とか歩けるかも知れないが、流石これには驚いた。

6,500Kmの距離がどんなに長いか、欧州から日本へ戻る飛行機から眺めると良く分かる。冬だと白、夏だと森一色の大地、果てしない無人地帯だ。 著者は只管国に帰りたい、自由になりたい一心で歩き続けた。数年前、癌との病と闘っていたO君にこの本を贈ったことがあった。「こんな人達もいたから、君も頑張れ!」いうメッセージだった。誰もが自分でも気が付かない不思議なパワーが備わっている、と言いたかったのだが・・・。

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