Monday, 28 January 2013

毛沢東の亡霊

尖閣に揺れる日中関係、日増しに緊張が高まっている気がする。その中国を知りたくて、「赤い高粱(コーリャン)」と「ワイルド・スワン」を読み返してみた。赤い・・も凄い作品だったが、ワイルド・・は一少女の目線で見た親近感があった。著者のユン・チアンは自分と同世代、こちらが学校に通っていた頃に、貧困と迫害の生死を彷徨っていたことになる。改めて異国を感じた。

著者は紅衛兵をやる一方で、共産党幹部から反体制のレッテルを張られる両親、些細なことで迫害された人々を見てきた。そこで分かったのは、文革に名を借りた内部抗争、それも毛沢東の保身だった。自分を守ろうと内部に敵を作り、権力に近づく者を粛清する、それも大衆の私的な嫉妬、恨みのはけ口を利用する稚拙な手法だった。これで林彪、劉少奇、鄧小平を追放した。

読んでいて、最近首相になった周近平が「汚職を撲滅する」と言っていたのを思い出した。当時もこれを理由に走資派をでっち上げ、自己批判させた。一党独裁だから、子弟を優先させるのはごく自然なことなのに、いざとなると強権に出る。今回はどうなるのだろう。毛沢東の肖像画はまだ天安門に掛かっている。亡霊が出てきて、内部の敵どころか外部の敵を作り出さねばいいが。







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