Sunday, 23 December 2012

タリンのクリスマス

もうクリスマスだ。昨年一昨年と、タリンの町で寂しく1人クリスマスを過ごした。ヨーロッパだと思うと華やかな雰囲気を想像するが、鐘の音も殆ど鳴らない静かなクリスマスだった。長年続いたロシア正教と、プロテスタン系のドイツ人領主に気を遣いながら、エストニア人にとって宗教は半ばタブーだったからだ。



外に出れば人通りもなく、寒さと静けさだけの世界、食べ物屋も観光スポットを離れると殆どなかった。これは社会主義が生んだ負の産物であるが、こうなると人々は家の中でゴロゴロ過ごすしかない。幸い部屋の中は国の集中暖房が行き渡り、半そで半ズボンで過ごせる快適な空間だった。これは社会主義生んだ良い面だ。

暫く離れてみると、こうした不便さがかえって懐かしい。人間何もないと思うと、眠っていた記憶が蘇りあれこれ考えることになる。記憶の点と点が繋がり、自分でも信じらない程、想像力が逞しくなってくる。今の日本にないのは、この空間のような気がする。

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