Sunday, 16 December 2012

マーフィの戦い

古本屋で100円で買った高橋哲雄著「アイルランド歴史紀行」は、当たりだった。今から20年以上前に出版されたものだが、筆者の心意気が伝わってくる名著だった。学者に有り勝ちな、年表の列記と浮世離れした解説もなく、アイルランド人と良く交じり合った後が読み取れる一冊だった。

本の中で、アイルランド人を象徴する自殺的、自虐的行為として、映画「マーフィの戦い」を紹介している。早速買って見ると、場所は第2次大戦末期の南米、アイルランド人のマーフィが一人でドイツ軍のUボートに立ち向かう、まるでドンキホーテのようなストーリーだった。監督はピーター・イェイツ、主演はピーター・オツゥールとその婦人と、全てをアイルランド系で固めている。

アイルランドは、悲哀という言葉が一番ピッタリくる国だ。それだけに人々の非合理的な行為が今でも共感を誘う。本では映画「ライアンの娘」に出て来る牧師にも触れている。つまり聖職にあっても、実は農民出身者の牧師だったということらしい。「心の旅路」、「アラビアのロレンス」、「冬のライオン」・・・、奥は深そうだ。



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