Saturday, 8 December 2012

テキサスに眠る特殊潜航艇

今日は12月8日、我々の世代とは切っても切れない太平洋戦争の開戦日である。1941年だから、もう71年も経ったことになる。空母6隻を含む連合艦隊と艦載機400機がハワイの真珠湾を奇襲した、正に日本の歴史的な日だ。

空からの攻撃に先立ち、特殊潜行艇5隻が真珠湾に突入した。昔、江田島の海軍兵学校にその1隻が残っていたのを見て、当時に思いを馳せた記憶がある。勿論これは戦後アメリカから返還されたものだったが、先日ひょんなところでもう1隻の潜航艇と対面する機会があった。場所はアメリカのテキサス州、サン・アントニオから車で1時間ほど行ったフレデリックスバーグという町であった。ドイツ的な名前は、開拓史の頃ドイツからの入植者が多かったためで、そのせいか今ではワインの産地である。同時に、町はニミッツ提督の故郷でもあった。それが縁で立派な「太平洋戦争記念館」が建てられ、太平洋から運んだ日本戦車、グラマン機、そして特殊潜行艇などが陳列されていた。テキサスで特殊潜行艇にお目に掛かるとは思わなったが、この艇が唯一生き残った酒巻少尉のもの聞き驚いた。記念館では酒巻氏を紹介しており、殉職した搭乗員9名が「軍神」として祭られる中、捕虜第1号として当時は恥辱を受けたこと、戦後復員しトヨタブラジルの社長にまでなられたことなど、私には昨日の事のようだった。
 

 
 
この記念館で面白かったのは、歴代アメリカ大統領の軍歴紹介である。J.F.ケネディーの魚雷艇は有名な話だが、大統領になるにはこの経歴が欠かせないからだ。また年に何回か当時の実演ショーもやっている。ショーに使う黒こげの日本軍トーチカは、見るに堪えなかった。かと思うと記念館に隣接して立派な日本庭園と和室もあった。およそテキサスの砂漠とは似つかないが、彼の地で寂しく祭られる潜水艦にとっては、せめてもの慰めのように思えたのだ。

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