アイルランドに行った時、クロンマックノイズ(Clonmacnoise)というカソリックの聖地を訪れた。6世紀から信仰で栄えたが、バイキングやイングランドの略奪で16世紀には廃墟になった村である。今では、ハイクロスと呼ばれる十字架の石碑だけが当時の面影を残していた。不便な所だが、日本語のパンフレットがあったのには驚いた。
その夜、近くのアスロン(Athlone)という小さな町に泊まった。例によってパブに入ると、片隅でアイルランド民謡を奏でていた。縦笛とアコーディオンだけの至って質素な音色だったが、地元の人は静かに聴き入っていた。それはまるで迫害を受けた故人を偲ぶかのようで、何とも言えない厳粛な雰囲気だった。
今年は随分と飲み歩いたが、やはりアイリッシュパブの居心地はいい。中でもこの晩のことがとても印象に残っている。
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