”自分だけが知っている秘密が、時間と共に明るみになって行く” そんな怖い思いは誰しもしたくはないだろう。ジェフリー・アーチャーの新作、「全ては時が語る(Only Time Will Tell)」はハラハラする小説で面白かった。
舞台は第2次大戦前のイギリス、父を亡くした少年が成長し、自分の知られざる過去と出会うストーリーだ。例によってイギリスの階級社会と血縁を巡る仕掛けが良く出来ている。少年は小さい時に父を亡くしたため、ホテルに勤める母一人で育てられる。貧しい家庭のせいで、裕福な友人の父親からは距離を置かれる、そんな設定で物語は始まる。比較的早い段階で読者には秘密を教えておき、段々とその核心に迫っていく手法は流石だ。
ジェフリー・アーチャーといえば、「百万ドルを取り返せ(Not a Penny More, Not a Penny Less)」の華麗な復讐劇が何と言っても最高だ。「ケインとアベル(Kane and Abel)」も交錯する人間関係が見事だった。今回はこの交錯型で、続編が来春出版されるというので楽しみだ。
No comments:
Post a Comment